~サウンドレシピ集~

 Patchworkを使った音色の作り方をご紹介するレシピ集です。気に入った音があったら、作成してみてください。また、メソッドを応用して、独自の音色を作ることもできます。


 ・シンセベース

 レゾナンスを利かせたシンセベースです。Wave chain editorとuniversal filterを使います。




 ・レゾナンスとは?

 レゾナンスとは、「共振」という意味です。シンセサイザの世界では、たとえばLow-pass filterでカットオフ周波数付近の倍音が強調された状態を言います。



 ・フィルタだけでレゾナンスを疑似表現する方法

 Universal filterの取扱説明書内でも説明していますが、強調された倍音に当たる音データと、元データを重ねて発音させると、レゾナンスの利いた音を作ることができます。


 手順をご紹介します。

 まず、Wave chain editorで、wavesディレクトリにあるsaw wave.awsfを二つ取り込み、一つは波長50(%)、振幅(音量)50(%)にします。その上で、この二つの波形間でループを設定します。下図のように各パラメータを設定してください。

 

 これを、お好きな名前(たとえば"new_saw.wav"のようなファイル名)でお好きな場所にWAV出力(保存)します。


 次に、この原波形を、Universal filterで加工します。

 Universal filterを起動し、今保存した波形をLoadしてください。その上で、下記のようにLow-passfilter(cut off)で倍音をカットしてください。

 1;From:0.01、to:0.2385、8000.0Hz~400.0Hz
 2:From:0.2385、to:10.0、400.0Hz~400.0Hz

 下図のようになるはずです。データは、お好きなファイル名でお好きな場所に保存してください。



 次に、カットオフ付近の強調に当たるデータを作成します。

 今度は、次のように値をセットしてカットしてください。異なる二つのフィルタを使うのでご注意ください。

 1;From:0.00、to:0.25、8000.0Hz~1.0Hz(High-pass filter(cut off))
 2:From:0.25、to:10.0、1.0Hz~1.0Hz(Low-pass filter(cut off))
 3;From:0.00、to:10.0、400.0Hz~400.0Hz(High-pass filter(cut off))

 下図のようになるはずです。こちらもお好きなファイル名で、お好きな場所に保存してください。



 これらをサンプラーに取り込み、シーケンサーで鳴らすと冒頭のようなシンセベース音になります。


 ・なぜレゾナンスになるのか?

 一つ目のデータが倍音をカットされた波形、二つ目のデータがカットオフ付近を強調する波形になります。それで、二つを同時に鳴らすとレゾナンスのかかった音色になります。0.01秒のタイムラグが、ポイントです。このタイムラグにより、カットオフ周波数がシフトするのを追うように、倍音を強調するデータの周波数がスイープしていくように聞こえます。



 ・(疑似)オーケストラ・ヒット

 80年代から90年代にかけて、ホワイトノイズと思われるサウンドから、疑似オーケストラヒットが作られ、流行った時期がありました。今でも、テレビ通販の効果音等で使われています。

 その疑似オケ・ヒットの作り方です。

 まず、Wave distillerを起動し、デフォルトで波形として表示されているホワイトノイズの440Hzの成分を取り出します。これを、C3(48)の1倍音、2倍音、4倍音、8倍音、16倍音にして保存し、Audacity等の波形編集ソフトで一つの音に足し合わせます。


 次に、この作成した音をサンプラーに取り込み、CGC(ド・ソ・ド)の和音で発音し、これを波形として録音または演奏データとしてWAV出力します。


 最後に、このWAVを5個サンプラーに取り込み、rootをC1、C2、C3、C4、C5にして発音させると、疑似オケ・ヒットが出来上がります。


 フルートの倍音を同じようにしてシンセサイズしていくと、面白い音になります。原波形を変えるなどの工夫次第で、いろいろな音が出そうなメソッドです。


 ↓できた疑似オケ・ヒット(使用ソフトウェア:Audacity、Reason lite10。イコライザ・リバーブ使用)


 ↓フルート(A4)から作った場合(使用ソフトウェア:Audacity、Reason lite10。イコライザ・リバーブ使用)



 ・人声から音を合成

 自分の声を音源にして、音を合成することができます。

 たとえば、私の声でシンセっぽいサウンドを合成してみました。

 ↓私の声です。ドの音程(オクターブ不明)です。




 まず、↓Low-pass filter(cut off)とHigh-pass filter(cut off)で音をカットしました。


 これを、同じこの波形をサンプラーに3個取り込み、C3、C4、C5をrootにして鳴らすと、こんな感じになりました↓。テクノ系で使えそうです。



 ・アナログシンセサウンドのシミュレーション

 Astraを使うと、フィルタで倍音をカットオフした状態などを、倍音の構成でシミュレートできます。ここでは、トランペットの音に似せてアナログシンセっぽい音をシミュレートしてみます。

 まず、Astraで下記のように倍音を構成し、これを"お好きな名前.awsf"で保存してください。


 この保存した波形データをWave chain editorに読み込み、単一波形のループにして、お好きなroot・データ長でWAVとして保存してください。

 次に、この波形をLow-pass filter(numerical sequence)で切ります。

1)From;0.0、to;0.5、4~0
2)From;0.5、to;(データの最後)、0~0

 それをサンプラーに読み込み、LFOをかけると、次のような音になります。昔のアナログシンセっぽく、かつトランペットっぽい音です。

 ↑雰囲気を理解していただくために、YMOのテクノポリスのフレーズをお借りしました。



 ・パッド系サウンドの作成例

 ノコギリ波形を使ったパッド系サウンドを作ってみます。

 まず、Wave chain editorで、ノコギリ波形を三つ、連続するように読み込みます。その上で、真ん中の波形だけ、波長を50%に縮めます。その上で、この三つの波形でループするように設定します(下図)。


 Rootはお好きな値、detune 12.0、5(osc(s))、長さとharmonics vibrationはお好きな値を設定してWAVとして保存します。この保存した波形をUniversal filterに読み込み、Low-pass filter(numerical sequence)で次のように切ります。

 1)From:0.0、to:0.25、2.0~0.0
 2)From:0.25、to:0.5、0.0~2.0
 3)From:0.5、to:(データの最後)、2.0~2.0

 これをサンプラーに6波形読み込み、3波形ずつ2組に分け、1オクターブの音程差とデチューンを更につけて鳴らすと、このようになります。下の二つと比べると、柔らかい感じがします。


 また、Low-pass filter(cut off)で同じように切ると、このようになります。
 Low-pass filter(cut off)の設定はこの通りです。

 1)From:0.0、to:0.25、1760.0~8500.0
 2)From:0.25、to:0.5、8500.0~1760.0
 3)From:0.5、to:(データの最後)、1760.0~1760.0



 更に、Band-pass filter(cut off)とlow-pass filter(cut off)で切ると、こうなります。

 1)From:0.0、to:0.25、(上)1760.0~8500.0、(下)1760.0~1.0 (band-pass filter(cut off))
 2)From:0.25、to:0.5、8500.0~880.0(low-pass filter(cut off)
 3)From:0.5、to:(データの最後)、880.0~880.0(low-pass filter(cut off)





 ・シンセ・ストリングス

 ノコギリ波形から合成されたバイオリン(オーケストラ)の音色です。

 パッドとほとんど同じです。単にフィルタの時間変化がないだけです。

 まず、Wave chan editorで、ノコギリ波形を一つ読み込み、これを単一波形のループに設定します。root、harmonics vibration、時間長さはお好きな値を、detuneは12.0、3(osc(s))で波形を計算します。

 次に、Universal filter(numerical sequence)で、次のように設定して波形を切ります。

 1)From:0.0、to:(データの最後)、2.0~2.0

 これをサンプラーに3波形読み込み、detuneをかけ、AMPのエンヴェロープでAttackとreleaseを長めにとって鳴らすとこうなります。




 ・シンセ・ブラス

 ノコギリ波形から、管楽器系(トランペットのような音)の音色を作ることができます。

 まず、Wave chain editorで、ノコギリ波形を一つ読み込み、これを単一波形のループに設定します。root、harmonics vibration、時間長さはお好きな値を、1(osc(s))で波形を計算します。osc(s)が1なので、detuneの値は無視されます。

  次に、Universal filter(numerical sequence)で、次のように設定して波形を切ります。

 1)From:0.0、to:0.25、2.0~0.0
 2)From:0.25、to:(データの最後)、0.0~0.0
 3)From:0.0、to:(データの最後)、1.0~1.0

 これをサンプラーに1波形読み込み、AMPのエンヴェロープをattack、releaseともに短めに設定して鳴らすとこうなります。LFOをかけています。


 これと全く同じ要領で、wave chain editorの設定だけ、波長を80%に縮めると、また違った音になります。