Astra version1.0 取扱説明書


・設計コンセプト

 Astra version1.0は、サイン波形の倍音100個の音量を調節することにより、様々な波形・音色を作り出す、波形シンセサイザです。

 最上段の波形表示エリアに、中段のスペクトル表示エリアで設定した各倍音の振幅の大きさから作り出される波形が表示されます。また、スペースキーを押すと、デチューンをかけて今表示されている波形のループを4秒間再生できます。

 このソフトウェアは、波形の特徴であるスペクトル(各倍音の音量)をファイル(拡張子.awsf)として出力し、自身はWAVを作成する能力を持ちません。実際に音にするには、ペアを成すWave chain editor上で、波形の並びやデチューンなどの設定をして計算することで、サンプラーに取り込める演奏用WAVデータが作成される仕組みになっています。

 倍音は、編集したい倍音を選択し、また選択された倍音だけが編集されるようになっており、できるだけ簡単にまとめて編集ができるよう、スペクトルの編集や倍音の選択はマウスドラッグでまとめて行えるようになっています。

 また、規則性のある倍音の並びを容易に作り出せるように、数列を用意いたしました。数列の係数や定数を指定することにより、より容易に規則性のある倍音スペクトルを作成できるようにしてあります。

 このように、Astra version1.0は、波形編集に特化したソフトウェアシンセサイザです。





次に、画面上の各機能についての説明です。

・ボタンの説明

 ・Select allボタン;倍音編集エリアで、現在の選択状態を破棄し、全ての倍音を選択します。

 ・Deselect allボタン;倍音編集エリアで、現在の選択状態を破棄し、すべての倍音を非選択状態にします。

 ・n-xボタン;選択されている倍音の振幅を、1/nx倍します。ノコギリ波形を作成するときや、最初からローパスフィルタをかけたような状態にするときに使います。

 ・sinxnπボタン;xをダイアログで与えると、n倍音の振幅をsinxnπ倍します。パルス波形を作る時などに使用します。
・①;波形表示エリア
 波形を表示します。
 ・左クリック;サイン波による合成とコサイン波による合成を切り替えます。音として出力される波形はサイン波により合成されます。ですので、ここでのコサイン波による合成は、単に波形が合成できているかどうかの確認用です。

 ・右クリック;Astraのファイル形式・.awsf(Astra Wave Spectrum File)ファイルを保存または読み込みます。保存するときは、必ずファイル名に拡張子".awsf"まで書いてください。

・②;スペクトル表示エリア
 各倍音成分の振幅の大きさを表示します。
 ・左クリックまたはドラッグ;各倍音の振幅を変更します。
 ・右クリックまたはドラッグ;倍音の振幅をゼロにします。
 100回まで、操作履歴を記憶できます。

・③;倍音編集エリア
 どの倍音を操作するか、操作対象となる倍音を選択します。1から100までの数値は、何倍音であるかを示す、倍音の番号です。100倍音まで編集できます。
 ・右クリックまたはドラッグ;編集したい倍音の選択・非選択を切り替えます。
 100回まで、操作履歴を記憶できます。

・④;倍音選択用数列編集エリア
 選択したい倍音番号(n)を、数列で指定します。
 ・数値を左クリック;係数などの値を入力用ダイアログで入力します。
 入力後、Set selectedボタンをクリックすると、現在の選択状態に加えて、新しい選択状態がセットされます。xはゼロから計算され、第100項までnの値を計算します。nの値が1から100の間の整数値の場合のみ、選択状態になります。

・その他の機能
 ・スペースキー;110Hz(A2)の音程で現在の波形を発音します。また、発音中に押すと発音を停止します。

 ・CTRL+スペースキー;440Hz(A4)の音程で現在の波形を発音します。
 ・SHIFT+スペースキー;880Hz(A5)の音程で現在の波形を発音します。

 ※発音される音には、detuneがかかっています。


 続いて、操作に慣れていただくためのチュートリアルです。


 チュートリアル1~ノコギリ波形を作ってみる
 練習として、ノコギリ波形を作ってみます。手順は下記のとおりです。

 1.Select allボタンを押す

 2.すべての倍音の振幅が最大になるよう、左クリックでスペクトル表示エリアをドラッグ

 3.n-xボタンを左クリックし、1.0を入力する

 以上です。無事、左図のようにノコギリ波形ができましたでしょうか。もしできなかったら、もう一度1から手順をやり直してみてください。

 チュートリアル2~パルス波形を作ってみる
 次の練習は、パルス波形です。

 1.Select allボタンを押す

 2.すべての倍音の振幅が最大になるよう、左クリックでスペクトル表示エリアをドラッグ

 3.n-xボタンを左クリックし、1.0を入力する

 ここまでは、ノコギリ波形と同じです。パルス波形では、次の操作が必要です。

 4.sinxnπボタンを左クリックし、ダイアログ上で0.3を入力する。

 5.最後に、波形表示画面を左クリックして、コサイン波による合成に切り替え、波形を確認する。

 以上です。無事、左図のようにパルス波形ができましたでしょうか。ノコギリ波形とほぼ同じ手順で作れるので、簡単だと思います。sinxnπボタンで指定する値を変えると、パルス幅が変わります。

 チュートリアル3~矩形波を作ってみる
 次の練習は、矩形波です。数列を使います。矩形波は、1,3,5,・・・というように、奇数倍音のみから構成されます。

 1.数列に、xの係数として2、定数としてマイナス1、xの増加量として1を指定し、Set selectedボタンを押す

 2.選択したすべての倍音の振幅が最大になるよう、左クリックでスペクトル表示エリアをドラッグ

 3.n-xボタンを左クリックし、1.0を入力する

 以上です。無事、左図のように矩形波ができましたでしょうか。

・音づくりのヒント

 どのような倍音構成にするとどういう音が出る、という法則性は明らかでないのですが、いくつか、経験則上いえることがあります。

1.2の累乗の倍音や1、1+2、1+2+3、1+2+3+4・・・といった数列上に並んでいる倍音で音を構成すると、金属音が出る。

2.低音域から高音域までまんべんなく倍音を含む音は、低音で鳴らすとにじんだ音になる。

3.中音域がなく高音域の倍音を含む音は、低音で鳴らすと金属ぽい響きを持つ。

4.アナログシンセサイザをシミュレートできる。

5.数列の係数は、0.34や0.76のようないい加減な値でも、そこそこ聞ける音になる。


 4について説明しますと、たとえば右の図のように、9倍音以上の倍音をカットオフし、カットオフ付近にあたる7,8倍音を強調すると、アナログシンセのレゾナンスを表現できます。

 プリセット音("waves"ディレクトリにあります)を加工するなど、色々試してみてください。